電車 乗り方のヒント
京都市内には地下鉄のほかに、JR、阪急電車、嵐電、叡電、京阪電車、近鉄電車が運行しています。
各電車は観光地に直結している線も多く、各社からエリアに特化した周遊フリーパスなどが随時発売されています (ただし、発売期間、発売年度が限定されている場合が多く、企画は随時変わります)。
京都市内に限っても、電車を利用することで渋滞なく快適に回れるエリアがたくさんあるので、 目的地によって「バス一日券」と電車利用のどちらに軍配が上がるか検討してみてもよいと思います。
・バスより速く、安く行けるところも!
・大阪方面から京都駅を経由する場合の割安な乗り方
京都の中心部・四条通の発着に便利な阪急電車
・大阪梅田 - 嵐山も阪急で。阪急電車と阪神電車に乗り放題の阪急阪神1dayパス
嵐山をはじめ史跡が連なる嵐電(らんでん)沿線
東山・伏見・宇治など京都の東側をカバーする京阪電車
・貴船・鞍馬、八瀬周辺へは叡電(えいでん)にゆられて
地下鉄・京阪と接続する近鉄電車
[MEMO欄] 京都駅発着のJR特急
JRで京都の観光地に行く
京都の玄関口、京都駅を中心に見た場合、JR線では新幹線のほかに、大阪方面へのJR京都線、 山科・滋賀方面へのJR琵琶湖線・湖西線、奈良方面への奈良線、嵯峨・嵐山方面への嵯峨野線が延びています。 東福寺や伏見稲荷、宇治方面へは奈良線、嵯峨・嵐山へは嵯峨野線が便利です。
バスより速く、安く行けるところも!
以下に、京都駅からJRで観光地へ移動する場合の運賃と所要時間をいくつかピックアップしています。 バスより速く、安く行けるところが結構あります。
JR京都駅から | 運賃 | 所要時間 | 周辺の主な観光スポット | |
---|---|---|---|---|
嵯峨野線 |
梅小路京都西 | 150円 | 3分 | 京都鉄道博物館、京都水族館、梅小路公園など |
二条 | 190円 | 7分 快速4分 |
神泉苑、二条城(二条から徒歩約15分) | |
花園 | 200円 | 12分 | 法金剛院、妙心寺など | |
太秦 | 200円 | 14分 | 太秦映画村(撮影所口)、広隆寺など | |
嵯峨嵐山 | 240円 | 17分 快速11分 |
嵯峨・嵐山散策 (京都バス:京都駅前-嵐山周辺230円) |
|
亀岡 | 420円 | 約28分 快速20分 |
保津川下りなど ※トロッコ亀岡駅は1つ手前の馬堀下車。330円。 |
|
奈良線 |
東福寺 | 150円 | 2分 | 東福寺、泉涌寺など |
稲荷 | 150円 | 5分 | 伏見稲荷大社など | |
宇治 | 240円 | 約28分 快速17分 |
平等院、宇治上神社・宇治神社など | |
東海道線 |
山科 | 190円 | 5分 | 毘沙門堂など |
大阪方面から京都駅を経由する場合の割安な(特定区間をムダにしない)乗り方
昼得きっぷが終了して以来、週末や昼間の大阪-京都のJRでの移動は高くなったなぁ、と感じていらっしゃる方も多いことでしょう。 2022年4月現在、大阪-京都の普通運賃は570円となっています(片道)。新快速で最短28分と速さがウリのJRですが、阪急の梅田-京都河原町400円と比べてもかなりの開きが・・・。
でも、阪急とはルートが異なるので、単純に「阪急の方がよくね?」とはならないですね。 そして実は、この価格でも通常の営業キロ数に従った運賃より安く設定されているのです。
JRでは東京付近・名古屋付近・大阪付近に「特定区間」が定められています(たぶん、JR旅客営業規則第79条に該当するもの。違ってたらすみません)。
で、このうち大阪付近(大阪地区)には、大阪・京都・神戸・奈良・和歌山などを含む約80区間の特定区間があり、それぞれ個別に通常より安い運賃が算定され、回数券や定期券も安く設定されています。大阪-京都間もそのひとつです。
さてここからが本題です。特定区間に指定されている大阪-京都間を例にとると、1回の乗車でこの「特定区間」を乗り越したり、手前(例えば福島)の駅から乗車した場合は、特定区間の運賃が適用されません。
例えば、大阪駅からJR京都線に乗り、京都駅で奈良線に乗り換えて稲荷駅まで行く場合。大阪駅で稲荷までの切符を買ったり、 京都までの切符で乗車し、または、ICカードを通してそのまま稲荷で降車すると、営業キロ数の普通運賃が適用されて860円かかります。
たとえ大阪から京都までの乗車券があったとしても、乗車駅から降車駅までを1回の乗車として、普通運賃との差額290円を払うことになります。
一方、同じルートで特定区間を利用すると、大阪-京都は570円。京都-稲荷は150円なので720円で行くことができます。片道140円おトク。
その場合は大阪駅で京都までの切符を購入するか、ICカードでホームへ入り、京都でいったん改札を出て、 京都-稲荷の切符を購入するか、ICカードで改札を入り直します。
ちょっと面倒ですが、幸い京都駅の西口改札は他のホームへの連絡橋(2階南北通路)の途中にあるのでそんなに手間がかかりません。 ポイントは特定区間を区切って乗車することです(京都駅降車不要の琵琶湖線・湖西線で山科へ行く場合はかなり面倒ですが…)。
そうなると、京都駅での出入不要でもっと安上がりなのは、金券ショップで大阪-京都の回数券バラ売りを入手、そのまま目的地まで乗り、 京都からの運賃を目的地で精算する方法です。
回数券は区間が指定されているため、その区間が1回の乗車とみなされます。 金券ショップにもよりますが、大阪-京都の回数券は(2022/4現在)500円前後で売られているので、片道860円かかるところが200円くらい安くなります。
また、もし事前に特定区間の回数券とその先(または手前)の回数券/乗車券が用意できる場合は、出口の自動改札機で2枚の切符を一緒に通すことも可能です。 メジャーな区間を利用する場合、金券ショップでは一番安くなるように2枚の回数券をセットで販売しています(異なる特定区間2枚セットの場合も)。
復路も同じで、特定区間とそうでない区間を分けて乗ればOK。注意したいのは、ICカードを使う場合です。 たとえどちらかの区間の乗車券・回数券をもっていたとしても、いったん区切りになる駅(この例では京都駅)で改札を出る必要があることです (ICカードは発駅と着駅を改札機に読み込ませなければならないから)。
なお、一定期間に頻繁に同じ区間をリピートする場合は、正規の特定区間の回数券11枚が割安です。けれども有効期限3ヵ月の縛りがある点で使いにくいことも。 また、そのくらい頻繁に利用する場合、ICカードの割引率も考慮の対象になってきます。
京都の中心部・四条通発着に便利な阪急電車
阪急電車は大阪梅田 - 京都河原町を最短43分で運行、この間の運賃は400円(片道)です。 京都の中心部、大宮 - 烏丸 - 京都河原町間では四条通を真っすぐ東西に走り、 始発・終点となる京都河原町駅から祇園までは徒歩圏内。烏丸駅は市営地下鉄四条駅とも接続しています。
また大宮駅は嵐電(京福電鉄)の四条大宮駅と隣接しているので、四条河原町方面から嵐山へ行く場合には、阪急 + 嵐電の一択でもいいかもしれません。阪急電車の大宮 - 烏丸 - 京都河原町間は160円です。
大阪梅田 - 嵐山も阪急で。阪急電車と阪神電車に乗り放題の阪急阪神1dayパス
梅田方面から嵐山に行く場合は、桂駅で阪急嵐山線に乗り換えます。ちなみに梅田-嵐山の運賃は400円(片道)です。
また、阪神電車、阪急電車、神戸高速線の全線で使えて、1日乗り放題になる阪急阪神1dayパスもあります。大人1,300円、子ども650円(2022年4月現在)。阪急・阪神・神戸高速鉄道の各駅(天神橋筋六丁目駅除く)で購入できます。
沿線を何ヵ所も回る際にお得な阪急阪神1dayパスですが、注意点としては以前の1,200円から値上げされたため、三宮 - 京都河原町、または、三宮 - 嵐山の往復だけでは普通運賃のほうが安くなります(いずれも630円×2=1,260円)。
阪急電鉄の公式HP:https://www.hankyu.co.jp/
嵐山をはじめ史跡が連なる嵐電(らんでん)沿線
嵐電(京福電鉄)は街なかを走る路面電車で、花の時期など風情も楽しめます。四条大宮-嵐山を結び、途中の帷子ノ辻(かたびらのつじ)からは、北東に北野線が延びています。全線均一運賃で、大人220円、子ども110円。四条大宮-嵐山の所要時間は27分です。
改札のない線路上の停留所(駅)では、そのまま乗って降車時に運賃を支払います(ICカードもOK)。
京福電鉄からは、バスや地下鉄と共通のフリーパスも発売されています。ただ、以前人気のあった嵐電のみの一日券は終了しています。なお嵐電沿線では、嵯峨・嵐山エリアや龍安寺・仁和寺エリアなど、歩いて回れる名所がたくさんあります。フリーきっぷがお得になるかどうか、周遊予定に合わせて選択しましょう。
2022年4月現在、発売されているフリーパスは以下の通りです。
- ①バス(市バス・京都バス・西日本JRバス)・嵐電一日券: 大人1,200円
※バスは市内均一運賃区間で有効。 - ②京都地下鉄・嵐電1dayチケット: 大人1,200円
※嵐電全線・地下鉄全線 - ③嵐電・嵯峨野フリーきっぷ: 大人800円/子ども400円
※嵐電全線+京都バス(嵐山方面系統全線・比叡山線(51系統)西山高雄線(90系統)は除く)
嵐電の公式HP:https://randen.keifuku.co.jp/
東山・伏見・宇治など京都の東側をカバーする京阪電車
「京阪のる人、おけいはん」でお馴染み(←関西圏だけ)の京阪電車は、淀屋橋から出町柳までを結び、京都では中書島から宇治線が、三条京阪からは山科・大津方面に向かう京津線が延びています。
京都の東のハブステーション・三条駅は地下鉄東西線と接続、バスターミナルもあって、市中のどこにでもアクセス可能です。 また、沿線には下鴨神社や八坂神社、伏見稲荷大社、石清水八幡宮、平等院など京阪各駅から徒歩すぐの名所も数多くあります。
広域にわたって営業展開する京阪電車では、エリアごとの一日券が多種発売されています。 京阪に限りませんが、フリーパスは年度が変わると内容が変わることも多々あるので、目的に見合っているか事前に要チェックです。価格帯は微妙なものも…。
参考までに普通運賃(片道)の例をあげると、祇園四条 - 出町柳:220円、三条京阪 - 伏見稲荷:210円、三条京阪 - 石清水八幡宮:340円、三条京阪 - 宇治:340円、淀屋橋(~京橋 - 出町柳:480円です(2022/4現在)。
京阪電車の公式HP:https://www.keihan.co.jp/
貴船・鞍馬、八瀬周辺へは叡電(えいでん)にゆられて
京都の奥座敷、貴船・鞍馬へは出町柳から叡電(叡山電車)で。八瀬方面へも叡電が便利です。
貴船・鞍馬行きは、景観を楽しめるよう大きな窓を向いて座れる車両「きらら」の運行があり、 八瀬比叡山口行きは、2018年デビューの観光列車「ひえい(写真)」が常時運行しています。
普通運賃は、出町柳 - 貴船口・鞍馬は430円(片道)、出町柳 - 八瀬比叡山口は270円(片道)。叡電は京阪電車の子会社のため、京阪電車・叡電がセットになった一日券が京阪電車から発売されています(2022/4現在)。
叡電の公式HP:https://eizandensha.co.jp/
地下鉄・京阪と接続する近鉄電車。京都から木津、奈良へも
京都駅八条口にJRと隣接して近鉄電車の京都駅があります。京都 = 近鉄奈良は急行で45分、640円。特急の場合は35分(特急料金としてプラス520円)。 京都市内では地下鉄の竹田駅と接続し、相互乗り入れも行っています。また近鉄丹波橋駅は、京阪電車の丹波橋駅とも通路で接続していて乗換可。
近鉄京都線を南下すると、木津川西岸(左岸)を経て奈良へと続き、その沿線には古い史蹟が点在しています。一方、木津川東岸はJR奈良線が運行します。
近鉄電車の公式HP:https://www.kintetsu.co.jp/